不思議の国の軟体鉱物

2017-10

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『かみさまのウワサ』第1話

A校舎にある、鍵のかかった屋上への扉。
午後5時過ぎに、それを3回叩くと扉が開くらしい。
そして、その扉の先には――

「かみさま、また来たよ」
宮子はパイプ椅子に思いっきりもたれ掛かる。
「友達いないのか?」
「かみさま」と呼ばれた女生徒が、半田ごてで何やら作業をしつつ応えた。
「友達はいるけどさ、みんな部活だし。何か来ちゃうんだよね」
「そうか……まぁ、設定どおりか」
宮子はかみさまをじっと見つめる。相変わらずの美少女だった。
黒く艶やかなロングへアー。豊満な胸。細身の脚。
陰気な雰囲気は無く、清楚でいて、色気もある。きっと、男なら憧れてしまうのだろう。
というよりも、男の欲望がそのまま形になったみたいだと彼女は感じた。
「かみさまはさ、男なの、女なの?」
「知らん。どっちかといえば男なんじゃないのか」
かみさまは半田ごてでの作業を続けていた。
「それじゃあ、なんでそんな姿なわけ?」
「趣味だろうな」
「変態じゃん」

宮子はふいに、かみさまと出会った日のことを思い出した。
まるで、何者かにそう促されるように。
あの日の夕方、宮子は興味本位で学校のウワサを試した。
A校舎にある、鍵のかかった屋上への扉、それを午後5時過ぎに3回叩く――
そうすれば扉が開くという、馬鹿げたウワサ。
宮子がそれをやった時も、結局扉は開かなかった。
しかし、諦めて階段を下りようと思った時、ひらめきが彼女を襲った。
宮子は扉の前に戻り、手をかけた。
鍵のかかった扉を開けようと、力を込める。
開け、そう強く念じた時、扉の先から微かな光が漏れた。
そして――扉が開いた。

扉の向こうは、何処かの部室のように小さな空間だった。
かみさまはそこで、宮子を待っていた。

「それでかみさま、さっきから何してんの?」
「お札を作ってるんだ」
「お札? お札って、お守りとかそういうの?」
「そういうの。最近、学校内でどうも気になることがあってねぇ」
「気になることって、もしかしてウワサのこと?」
宮子は数日前に、かみさまが学校内のウワサについて聞いてきたことを思い出す。
「そうだ。この学校のウワサは全部、俺が作ってるはずなんだが」
「そうじゃないのもあるってこと?」
「あるはずは無いんだが、あるみたいなんだ。初めての経験だよ」
「……ねぇかみさま、かみさまって結局何なの?」
「おかしいな、そんな言葉を言わせるつもりは無かったんだが……」
宮子は度々、かみさまの発言に違和感を覚えていた。
もしかして、この人は頭がおかしいんじゃないのか、そう思う時もあった。
「この学校のいわゆる守り神、もしくは精霊や妖怪でもいいかも知れない」
「かみさまはさ、何がしたいの?」
「この学校で物語を作りたいだけさ。ここ何回はウワサをテーマに試行錯誤だ」
「う~ん、ごめん。やっぱり良くわかんない」
「だろうな。そういう設定をしやすいからお前さんを選んだわけで……出来た」
かみさまが1枚の電子基盤を掲げる。
「お札の完成だ」
「それがお札?」
「そういうことだな」
かみさまがそれを手の中でまわすと、一回り小さな紙に変化した。
「じゃあ、これ持って行って来い」
「行って来いって……まさか」

「俺が作った覚えの無いウワサ、B棟3階の女子トイレの検証にだ」

第2話:http://longstraight.blog79.fc2.com/blog-entry-378.html
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『かみさまのウワサ』第2話

第1話:http://longstraight.blog79.fc2.com/blog-entry-377.html

B棟3階の女子トイレのウワサ――
B棟3階の女子トイレには、ドアに「↑」のマークが書いてある個室がある。
その個室に4回ノックして入ると、ドアが開かなくなり、
天井を見上げると、長い髪の女が覗き込んでいる。

「で、見た人は気を失っちゃうって話」
「こっちの調査結果と同じだな」
宮子が胸ポケットに入れたお札から、声がした。
「それで、ホントに行くの?」
「当然だ。自分の流した覚えの無いウワサを、是非とも確かめたい」
「それって、1人で行くのって出来ないの?」
「無理だな。体はあの場所から出れないから、このお札を誰かに持って貰うしかない」
「それで、私が適任ってわけ?」
「そういうことだ」
そのようなやり取りをしている内に、宮子は目的の場所に辿りついた。
B棟3階の女子トイレ――中はやや、薄暗い。
「……今から戻るのって、アリ?」
「大丈夫だ、恐らく何も無い」
宮子はその言葉を信じ、ウワサのドアの前に立つ。
そして、4回ノックをする。
「……何も起きないね」
「入ってみろ」
「本当に大丈夫?」
「問題無い」
呼吸を整え、宮子は意を消してドアを開ける。
個室には、何の変哲も無い便器があっただけだった。
「何も無いね」
「入ってドアを閉めろ」
「はいはい」
宮子は個室に入り、ドアを閉める。
カギはかけなかった。
「待て」
突然、お札から低い声が聞こえた。
「どうしたの、かみさま」
「目を閉じろ」
宮子は言われるまま目を閉じる。
「扉を開けられるか」
「……え?」
手で軽く、ドアを押す宮子。それがビクとも動かず、彼女はさらに力を込めた。
ドアは、開かない。
「えっ、ちょっと待って!?」
「落ち着け。いいか、3回、ドアをノックしろ」
動揺が収まらない中、宮子は激しく3回、ドアを叩いた。
「開けろ」
再び力を込めて、宮子はドアを押す。
今度は簡単に開いた。
「ど、どうなってるの!?」
「とりあえず退散だ。屋上まで戻るぞ」

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