不思議の国の軟体鉱物

2008-08

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嫌だ、はたらきたくない、はたらきたくなーーーい!!

夏休みも終わり……これからが地獄の始まりだ。
これから頑張ってシステムエンジニアとして成長してお薬飲みます!
…………深夜に怪談話聞きながらBlog書いてりゃいずれそうなるな。

あ、最近何故か昔買った「花とゆめ」作品の単行本を読んだり。
『親指からロマンス』は萌え漫画に大切なことが何なのかを教えてくれる。

そんなこんなでアニメ感想。
・ブラスレイター
し、死ぬために登場したのスノウは。

・スケアクロウさん
匠の技。なんということでしょう。

・ひだまりスケッチ
ゆのっちが可愛いから毎週風呂シーンがあるのも気にならない。

さて、中二病全開小説です。
丑三つ時に怪談聞くようなもんじゃねぇなぁ、おい!!

~『Respective Tribute』 第84回~

 全身全霊を込めた射撃の後、ホンシアは腰からゆっくりと崩れ落ちた。立つことも難しい出血。戦うことの出来ない重傷。だが倒れる直前、彼女の目は確かに捉えていた。『女王』が痛みに怯んだ、その動きを。
 もしかしたら、もしかしたら。ホンシアの中で生まれる淡い期待。あの弾丸があの化物の頭か心臓を貫いている可能性。ただそれだけが希望であり、それ以外は全て考えるに及ばないものばかりだった。
 ホンシアはどうにか自分の射撃の結果を確認しようと、手足に力を込めて立ち上がろうする。顎を引き、屋根を手の平で突いて――カシャッ、と瓦の鳴る音がした。
 ……畜生。
 ホンシアは仰向けのまま、音のした方向に短銃を構える。ゆっくりと顔もそちらに向けると、案の定そこには血まみれの『女王』がいた。
 畜生。
 殺せなかったゴール。果たせなかった夢。ホンシアにとって、『女王』のその姿は実体化した悪夢であった。
「手ひどくやられている様だな、周紅霞」
 震えて照準の定まらない右手、ホンシアは左手を右腕に添える。今度は両手両腕が震えだした。
「よくぞその傷で、そんな銃で私を……」
 傷と痛みだけが原因では無かった。彼女は怯え切っていた。殺すはずの相手に殺される、この状況に。
 嫌だ……
 恐怖に背を押され、ホンシアは引き金に指を掛ける。その瞬間、無力にも引き金の根元が砕かれ、落ちた破片が乾いた金属音を立てた。
 抵抗すら許されない残酷、運命に従う他無いという絶望。ホンシアは泣いてしまいたかった。夢なら覚めて欲しかった。壊れてしまいそうな心で、それでも彼女は発射不可能な銃を握りしめ、構え続ける。それが最後の意地。殺さずに殺されることを受け入れたくないという、最期の意思表示だった。
「……ホンシア、君のことは調べさせてもらった。君の両親のことも」
 憐れむような目でホンシアを見下ろしながら、『女王』は言葉を続ける。
「君の父親の会社が破綻に追い込まれた件、確かに我が社の傘下企業がその一翼を担っていた。だが、君の両親が死んだのは完全な事故――」
 「いや」と小さく呟き、『女王』は首を振った。
「そこまで君の両親を追い込んだのは、やはり我々なのだろう。そう、そうだとしても、私は君を殺さなければならない。殺さなければならないのだ、周紅霞」
 黙れ、黙れ、と心の中で拒絶しながら、ホンシアは『女王』を殺す糸口を考え続けた。
 何も、浮かばなかった。
「私の部下が2人、君に殺された。彼らの鎮魂のためでもあるが、それ以上に私自身の誇りのために、私は君を殺さなければならない。部下を殺した敵に対して、私は寛容でいたくは無い。命がけで立ち向かった勇士に対し、手加減もしたくは無い。本当に、本当に申し訳無いが、周紅霞、君には死んでもらう。私の、この手で」
 振り上げられる『女王』の右腕、その肩口には明らかな弾痕があった。
 自分の成果をその目で確認した時、ホンシアの中で何かが込み上げて来た。
 気付いた時には、涙が頬を濡らしていた。
 『女王』は殺せなかった。でも、ただ無様に殺されるだけじゃない。少なくとも、届いた。見果てぬ頂点を、弾は掠めていった。
 その事実にホンシアは自身のゴールを見た。
 全く無力のまま死ぬような終わりじゃない。かと言って、見事な射殺を成し遂げるわけでもない。一矢報いた、この終わり。それが自分に相応しい結果であると、彼女は納得してしまった。狙撃手として思い残すことが無い、そう思えるほどに。
 それなのに、彼女の涙は止まらなかった。
「ホンシア……もし君ともっと早く、私の部下を殺す前に出会えていたら、きっと私は何としても君を仲間に引き入れていただろう。それが残念でならない」
 どうして、私、泣いてるの……
「今まで多くの狙撃手が私を撃とうとした。だが、成功したのは君だけだ、周紅霞。つまり君は私が知る限り、世界で最高の狙撃手なのだ」
 とても寂しい……頑張ったのに、思い残すことなんて、無いのに。
「その技術、精神へ敬意を払い、周紅霞、君の事は忘れない。君が死んだ後も多くの者に語れるように。君の存在が人間の精神からも消えてしまわないように」
 狙撃手として、立派に……
「狙撃手、周紅霞。その名を決して、忘れない」
 違う……違う……!!
 否定の声を出そうと喉に力を入れようとするも、その喉は目の前を過ぎった手に切り裂かれていた。
 噴出す血液が『女王』を染める。ホンシアを染める。構えていた両腕が力を失って崩れ、それも赤に染まる。
 違う、私は……狙撃手として死にたかったんじゃない……
 走馬灯のように、ホンシアの心に涙の理由が浮かんで行く。父の顔、母の顔、友達だった娘たちの顔。何気ない食卓、退屈だった授業、楽しかったふざけ合い、たった7年前までありふれた日常だった情景。
 両親と共に失ったそれを、復讐の先に求めただけ。狙撃なんてその手段に過ぎないのに。狙撃手としての自分は、役割でしかないのに。
 そんな役割を終える事無く、そんな役割を「周紅霞」として記憶されて、あの懐かしい時間を取り戻せないまま、死ぬなんて。
 そんなの……嫌なのに……

 ――ホンシア……!
 
 声が……あぁ、アリス、アリスの声か……あの子は……そうだ、あの子といた時間は、どこか……懐かしくて……
 そっかぁ……あの子が取り戻して…………ありがとう、ありがとね、アリス。
 ごめん、でも……忘れないで…………私のこと……お願い……

 ごく普通の少女だったホンシアは、事切れた。 
 山陰に沈む夕日、その消え行く赤に照らされながら。
 ごく普通の願い、死に行く人間として当然の願いを胸に秘めたまま。
 発せなかったその願いを聞き入れられる者は、もはやいない。その思いを伝えられる相手など、何処にもいない。
 死んだ女にはもう、誰も、いない。
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『Respective Tribute』

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