不思議の国の軟体鉱物

2017-06

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黒歴史生産中!

リアルタイムで黒歴史小説生産中だよね、私。

でも書く。アニメ感想。
・ロミオ×ジュリ
ティボルトが調子乗りすぎな気がする。

んじゃ小説です。今回から第2節ってことで。

『Respective Tribute』 第10回
シーン2「夜景飛行」

 部屋に戻ったアリスはカーディガンとバッグを床に投げ捨て、ベッドに倒れこんだ。うつ伏せのまま、しばしの間だけ目を閉じる。
 意味も無く唸り、そして起き上がろうとする。
 やめた。
 アリスはそのままの体勢で、身体を宙に浮かした。魔力による加速度発生によって、彼女の身体は奇術のように空中で静止する。
 そのまま身体は90度回転し、直立の体勢に。そしてバスルームの前まで空中浮遊し、魔力で開けたドアをくぐる。そこまで来てアリスは、魔力の発生を止めた。普通に起き上がり、歩いて、ドアを開けた方が、まだ楽であることに気づいたためだ。
 アイボリーのワンピースと下着類を洗濯籠に放り込み、浴室に入る。浴槽近くのスイッチを押してから、シャワーを出した。
 金色のブロンドを洗浄しながら、アリスは奈々子のことを思い返していた。
 奈々子は時折、アリスを検査に連れて行く。身体のサイズや身体機能を測る時もあれば、今日のように魔力について検査することもあった。
 奈々子と出会って、日本に来て、もう3ヶ月。流石に検査にも飽きてきたわ。どうして検査するのかって聞いても、奈々子は「仕事なのよ」としか答えてくれなかったし、いまいち面白くない。奈々子の職業もよく分からない。でも国家公務員であることは前に聞いた。国のために働く仕事で、ということはあの検査は国のためなのかしら。
 浴槽のお湯が溜まったことを音声が知らせる。アリスはシャワーを止めた。
 なんにしても、つまらないわ。

 浴槽で脚を伸ばしながら、アリスは物思う。
 奈々子が嫌いなわけじゃない。色々と世話してくれたもの、嫌いになれるわけがないわ。この部屋も、ケータイも、お金も。みんな奈々子がくれた。だけど、なにかしら。やっぱり少し、不自由だわ。
 外は歩ける。買い物も出来るわ。映画も見れる。食事も出来る。ウェブも見れる。でも、ウェブで買い物は出来ない。苗字と名前が必要なものには手を付けられない。苗字なんて、無いから。奈々子が言うには、戸籍が無いからあまり派手なことはしないで、ですって。それが無いと、自分が誰だか証明出来ないみたい。
 おかしいわ。人間は複雑だから、おかしいのよ。
 何だか良くわからないけど出来ないことが多くて、何だか良くわからないけど私には無いものがある。そして、何だか良くわからないことだらけなの。
 まるで不思議の国だわ。奈々子について行ったら、変なことばかりの世界。もちろん素敵なものもあるのだけど、変なルールが邪魔をしてる。きっともっと、楽しいことがある。でも触れないんだわ。不思議の国の住人じゃなければ、それには触れない。
 アリスは左足を揚げる。銀色のリングが、足首で鈍く光る。彼女の足首よりわずかに大きく作られたそれは、奈々子から外さないように言われたもの。まるで首輪のようで、アリスは少し不愉快だった。
 つまらないわ。ええ、つまらない。
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