不思議の国の軟体鉱物

2017-07

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今日がっくりしたこと

mixiのデザインが変なのに変更されてた……

あれは頂けない。アニメ感想。


あ、見てなかった。


んじゃ今日も中二病小説です。回想かぁ。


『Respective Tribute』 第28回

それから6ヶ月の後のことだった。
「……行くのか」
 ホテルの椅子に座って、窓の外の景色を見たまま――英国の冬空は曇りだった。そんな寂しい景色から眼を移すことも無く、ローエングリンが言った。
「ええ。もう10連勝したんだから。貴方といなくても、ちゃんとやっていけるわ」
「それは勝負の面だけだ。人間の常識というものを、お前は弁えていない」
「それも問題無いわ。奈々子って日本人と一緒に日本に行くって、前に言ったでしょ?」
 アリスはいつもの「アリス服」の上にコートを羽織った。この国にいた本当のアリスも、こんな格好をしたのかしら。
「信用出来るのか、その女は」
「きっとね。これでやっと、念願の日本暮らしが出来るわ」
 アリスはローエングリンに目を向けた。何処となく、元気が無い。
「もしかしてローエングリン、寂しいのかしら?」
「ああ」
 冗談めいて言ったのに、思いがけない言葉を返されたアリス。
「……貴方がそんな事言うなんて初めてね」
 アリスはローエングリンの傍に歩み寄る。
「最近何か変よ、ローエングリン。何かあったのかしら?」
「……」
 ローエングリンは、答えない。
「『トルソー』を出た辺りからよ。この3ヶ月、貴方ずっと不機嫌だったわ。前はもう少しだけ、笑っていたわ」
 ローエングリンは、答えない。
「何が気に入らないの、何がそんなに嫌なのかしら?」
「……なぁ、アリス」
 ローエングリンは、答えた。
「お前は『女王』のこと……どう思っている?」
 突拍子も無い質問に、アリスは面食らった。
「いきなり何を言うのかしら。そんなの決まっているわ。大嫌い。いつか必ず、あのふんぞり返った態度に一撃食らわせて、目に物見せてみせるわ」
 アリスは拳を握り締めながら、地べたに這いつくばる『女王』を想像した。
「そうか……」
 ローエングリンは何事かを考えるかのように目を閉じ、黙った。
「ローエングリン……?」
 沈黙が部屋に張り詰める。しばしの後、ローエングリンが口を開いた。
「……いや、何でも無い」
 余りにもな言葉に、アリスは拍子抜けしてしまう。同時に、ローエングリンの態度に沸々と怒りが込み上げて来た。
「言いたいことがあるなら、ハッキリ言いなさい!」
 大声を出し、アリスはローエングリンの前にあった木製のテーブルを叩いた。四本の脚が衝撃で折れ、テーブルは崩れ落ちた。
「行くなら早く行け……待たせているんだろ、連れ」
「連れじゃないわ。奈々子よ」
 最後まで窓の外の景色から目を離さなかったローエングリンに背を向け、アリスは部屋の入口に向かって歩き出した。途中で旅行鞄を拾い、ドアの前まで行った所で、足を止めた。
「ローエングリン」
 アリスはローエングリンの方に向き直す。
「私の方が強いんだから、もう1つお願い、聞いて貰うわよ」
「……何だ」
「エルザのこと、これからずっと守ること。いいわね」
「……それだけは」
 そこで言葉を区切り、ローエングリンは静かに立ち上がった。
 やっと窓の外を見るのを止め、アリスと正対したのだ。
「それだけは、絶対に守る。約束だ」
「約束……そうね、約束よ」
 アリスは笑顔で返した。ローエングリンは笑っていなかったが、アリスには伝わった。
 ローエングリンが何を考えているのかは分からないけど、今もローエングリンは、エルザの事を大事に思っている。この約束だけは、必ず守ってくれる。だから私は、安心して奈々子と行ける。
「遅れるぞ」
「ええ……約束よ、ローエングリン」
 機嫌が悪いのは、きっと『女王』に嫌な命令でもされたんだわ。それで機嫌が悪いのよ。今は駄目でも、その内いつものローエングリンに戻る。晴れない曇り空が無い様に、いつか。
 アリスはそう信じて、部屋を出た。
 アリスはそう信じて、奈々子の元へ向かった。

 そう、信じていたのに。
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