不思議の国の軟体鉱物

2017-10

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こんばんは、何かメチャクチャ執筆速度遅いぞ私!!
小説家とかシナリオライターとか目指さなくて正解ですね……

もっと集中しないと、就職までに終わらない! アニメ感想。
・しおんの王
虎眼先生っぽい神園先生が引退。つまり、完!

・電王
ゼロノスをもっと。

・みなみけ
まこちゃんの面白さは異常。

・バンブレイド
般若の顔してたけど般若じゃなかった。

・スケブ
ネコパートの面白さはまさに金朋地獄。あと伊藤静御前。

さて、今日も今日とて小説です。
せめてこの作品だけは書き上げないと気がすまないんですよ!!

~『Respective Tribute』 第44回~

 アリスはゆっくりとした口調で語りだした。脚色し、偽り、それでも語れることを。
 生まれた場所はイギリスの田舎町にした。本当は、太平洋の深海なのに。ローエングリンは近所に住んでいて昔からの付き合いということにした。本当は、『構造体』から出る時までほとんど話したことも無かったけど。世界中を旅して、訪れた地でエルザという少女と仲良くなった。これは本当。そこで何ヶ月か過ごした後、アリスは日本に行くことにして、ローエングリンと別れた。
 そのようなことをアリスは語ったが、奈々子のことは話さなかった。奈々子が口にするなと言いそうな事も、アリス自身が言いたくないことも。真実ではないが、ローエングリンとアリスの今までを表すには充分な、そんな語りをした。
「これが、私とローエングリンの今までよ」
 度々相槌を打ちながら話を聞いていたホンシアは、「なるほどね……」と言いながら何度も頷いた。
「結構普通の人生だったんだね、アイツも。もっと壮絶かと思った」
 ホンシアがどんな人生を想像していたかは不明だが、ローエングリンの本当の生い立ちはそれ以上のものであろう。
「でもそれがどうして、こんな世界に?」
 こんな世界――人殺しの世界。
「きっかけはそんなもの、でしょ」
 アリスはホンシアの言葉で返答した。ホンシアは自分と似た事情をイメージしたのか、気まずそうに眼を逸らした。
「えっと……ローエングリンって、昔はもう少し愛想良かったの?」
「少しはマシだったわ。私が日本に行くちょっと前くらいから、どんどん無愛想になっちゃったのよ」
「原因って、心当たりある?」
「あったら、こんなに悩んで無いわ。本当、誰かの心の中って全然分からないわ」
 アリスは膨れっ面をして、正面の街並みを向く。
 もしあっちの方からローエングリンが飛んできたのなら。夜風と一緒に、ビルの隙間を縫うようにして。そうしたら、バールのようなもので叩いてでも本心を聞かせて貰うわ。ホンシアが知っているのは、貴方の外側だけだから。
 それはまるで、卵だわ。貴方は塀の上でうまくバランスをとっているから、割れたりしない。だから、中身も見えないのね。
 だったら、叩いて落とすだけ。一度落とせば、それでおしまい。そうしましょう、そうしましょう。
 そんなアリスの思考を否定するかのように、ホンシアが言葉を発した。
「確かに他人の心は分からないけど」
 アリスの耳にその言葉が入っていく。
「だから人と話すのって楽しいんだと思う」
 自分の結論が一言で否定され、アリスはきょとんとした顔でホンシアの方に向いた。
「そうかも、そうかも知れないわ」
 興奮気味にアリスは言った。アリスは今まで、そんな考え方をしたことも無かった。力づくでこじ開ける、それが彼女のやり方であったから。でも、一言一言を交し合っていきながらゆっくりと開けていく楽しさというものもあるのだ。
 今まで多くの人と話して来たのは、相手の心が分からないから。
 今まで多くの人と話して楽しかったのは、相手の心が分かって行くから。
 それはアリスにとって、真理であった。そしてその真理は、ローエングリンの閉じた心にも通じると。
 彼が開かないなら、一言ずつ開かせれば良い。そしてそれを、楽しめば良い。
 思いもしなかった糸口に気付けた嬉しさが、彼女の心を満たしていく。もはや迷うべくも無い。
「ありがとう、ホンシア。やっと分かったわ、どうしたら良いのか、決心がついたわ」
 満面の笑み。
「そう、良かった。力になれたんなら、嬉しいかな」
 アリスの笑顔に微笑みで返したホンシアだが、不意に吹き出した。
「ごめんごめん、そんなに嬉しそうな顔が出来るとは思わなかったから、ちょっと面白くて」
「出来るわ。嬉しい時は、ちゃんと笑うもの」
「そうだね、今まで嬉しいや楽しい時に会ってなかったし、そりゃ見れないか」
 2人、声を合わせて笑った。
「そうだ、今度の日曜日って暇かな。一緒にさ、買い物とか行かない?」
「お買い物?」
 突然のホンシアの誘いに、アリスは戸惑いつつ答える。
「大丈夫だと思うわ。でも、どうして誘ってくれるのかしら?」
「女2人が一緒に買い物に行くのに、理由なんていらないでしょ。それに……」
 ホンシアはゆっくりと浮かび上がる。
「楽しい時のアリスも、見てみたいからね」
 思わず、アリスは宙に浮いたホンシアに手を伸ばす。その手は何にも触れずに空をかいた。
「日曜日の朝10時、この場所で。約束だからね」
 もう立ち上がって手を伸ばしたとしても届かない位置から、星を背にしたホンシアが言った。アリスは座ったまま、上を見て頷いた。
「約束は守るわ。絶対、守るわよ」
 その言葉に頷きで返し、ホンシアはさらに上空へ、そして遠くへ飛んでいった。残されたアリスは、そういえば、と気がつく。
 ホンシアはいつも、私を残して飛び去っていくのね。日曜日のお買い物もそうなのかしら。だったら、ちょっと面白いわ。
 紙袋を持って空を飛ぶホンシアの姿を想像して、アリスは苦笑するのであった。
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