不思議の国の軟体鉱物

2017-07

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スピカ

どうも、スピーカーを換えた私です。
まさかこんなに音が違うとは……

さて、アニメ見てないので一気に小説です。
ペース上げないとやばい!!

~『Respective Tribute』 第46回~

 2店目、3店目、4店目。アリスに数えられたのはそこまでだった。
 数え切れないほどの店をホンシアと回ったアリス。やっと座れたオープンカフェの椅子から店内の時計を見ると、時刻は2時過ぎ。陽射しはビルに遮られ、雑踏はその向こうの車道が見えないほどに休日的であった。
「ふぅ……」
 アリスの一息。だらりと全身の力を抜いて、彼女は椅子にもたれた。それを見ながらホンシアは、してやったりと言った表情で微笑む。
「どう、疲れた?」
 ホンシアの椅子の左には紙袋が2つ、右には3つ。小物の商品が乱雑に詰め込まれているため、重量は膨らんだ見た目と比べても重いと言える。
「いつもこんなに沢山のお店を見て回っているのなら、買い物の病気だわ」
 体力は人間以上のアリスだが、大量の買い物に付き合わされた精神的疲労に対してはそれほど強く無かった。
「女の子はみんなそういう病気だよ。まぁ、今日はちと買いすぎた気はするけどね」
 アリスはちらりと左側の地面を見る。アリスの椅子の左には紙袋が3つ、右には2つ。左側のは全てホンシアの物だ。
「日曜日の度にいっぱい洋服を買って、一体何日かけて買った物全部を着るつもりなのかしら」
「一生かな」
 皮肉のつもりで言った質問をあっさりと受け流され、アリスは口を尖らせる。
 今回のショッピングにおいて、アリスは何度も不機嫌になった。不機嫌になっても、右側の袋に代表される一部の品々に対する好奇心でそれは消え去り、そして別の不機嫌がホンシアによってもたらされる。その繰り返しだったからこそ、アリスは途中で帰らずにいられた。
 アリスもまた、買い物に夢中だったのだ。
「さて、少し遅いけど昼食にしよっか。お腹空いたでしょ」
 ホンシアの提案に、アリスは即座に姿勢を正して頷いた。言うまでも無く空腹だった。
「お腹に溜まるものがあれば良いけどね」
 メニューを広げながらホンシアが言った。

 スパゲティの空いた皿を脇にどかし、チョコレートムースを正面へと動かすアリス。それはそれは、嬉しげな顔で。
「甘いもの、好きなの?」
「もちろんよ」
 ホンシアの質問に即答する。二又のフォークでゆっくりと先端近くを切り離し、突き刺す、食べる。
「甘いものが嫌いな人なんていないわ」
「甘すぎるのもどうかと思うけどねぇ」
 そう言うホンシアの前にもチーズケーキが一切れ。ちなみにアリスの前にはチョコレートムース、チーズケーキ、ホイップクリームが乗ったプリンが1皿ずつあった。
「頼みすぎるのもだけど」
「大丈夫、半分払うわ」
 皿の比率と代金の比率がおかしい事に、アリスは本当に気付いていなかった。ホンシアはそれに気付いたのだろうか、険しい表情になって口を閉ざした。
 お互い無言でデザートを口に入れ続ける2人。アリスが1皿目を食べ終わった直後、片方が口を開いた。
「ねぇ、アリス」
 チーズケーキを食べる手を止めたホンシアが僅かに微笑みながら言い、アリスは顔を上げた。
「女王って……誰?」
 思いがけない禁句を、アリスの脳は一瞬理解出来なかった。
 そして、金色の、長い髪の、深い青の、開かれた眼の、勝ち誇ったかのような、愛玩するかのような、上から見下ろすような、遥か高みにいるかのような、鮮明な一瞬の光景。
 記憶から想起された姿に、言いし得ぬ感情が溢れる。それはアリスの全神経を突き動かし、彼女の全身は力み出し――
 我に返った時には、右手のフォークが親指によってぐにゃりと曲げられていた。
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