不思議の国の軟体鉱物

2017-10

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リズム・クラッシャー

どうも、最近風呂に入る時間帯がまちまちな私です。
夜7時くらいだったり深夜だったり朝だったり。
何か生活不規則ですねぇ、社会人なのに。いいのか、これで。
原因はドールと中二病小説と食事。

あと「」。アニメ感想。
・RD潜脳なんとか
わんわんわんわんわんわん。正体はくんくん探偵。

・フタコイ
ラストのBGMはずるい

・ドルアガ
ドラゴンが強いって久々に見た

・紅
変態ロリコン野郎鬼畜版登場。あと次回は飛びます。

・しゅごキャラ
変態かぁ。メガネは結構やる奴。

・ブラスレイター
まだ見てない。

・ペルソナ
ぺったりさようならぺったり。

・RRR2
衣装代いくらだったんだ、ミリオン・ゼロ。

・ファイアボール
猿!?

さて、相変わらずの中二病小説です。
『女王』が腕を軽々と切断したりしてますが、実はかなり痛いのです。
それを我慢して戦っているというどうでもいい設定。
というか、陰の主役。

~『Respective Tribute』 第75回~

「来るな……来るなっ!!」
 『女王』を近寄らせまいと神崎は残った右手のナイフを遮二無二振り回す。その醜態とも言える姿を『女王』は憐れむように見つめた。
「陰島に勝るとも言える速度、中々のものであった。ナイフの投擲や判断力も悪くない。主同様、君も戦士だったのだろう」
 陰島の名前を聞き、神崎の右腕が止まった。荒い息を吐きながら、ゆっくりとその腕を下ろす。
「だが、最後の最後で君は成り下がった。私が先ほど切り殺して来た者どもと同じ、怯える動物に。恐怖、生物の衝動を己が理知と感情で克服してこその人間であると思うが……どう思う神崎」
 高く、『女王』の右腕が振り上げられた。
「答えてくれないか、どうか」
 抗い切れない恐怖の中、神崎は走馬灯のように彼の顔を思い起こす。
 叔父。魔導士となったが故に向けられた些細な奇異の視線、その孤独を理解してくれる唯一の人間だった。非常識な人柄で、だからこそ魔導士という特性を楽しんでいたように今は思える。遠くの国で魔導士が戦争に参加しているという話をとても楽しそうに語っていた。『女王』の記事を経済雑誌で発見する度に魔導士としての彼女を賞賛していた。物語に夢見る少年のように、いつ迎えるかも分からない戦いに備えていた。それを自分にも半ば強制的に付き合せ、もし今回の件が無ければ2人で遠くの戦場に行っていたかも知れない。
 孤独を理解してくれた人は、常軌を逸しようとしていた。特別な力を得たことで、自分を特別な存在にしようとしていた。それに散々付き合わされて、でもそれは嫌じゃなかった。その先にあるのがくだらない結果だと分かっていても、叔父と一緒なら楽しめたはずだった。
 だが、今のこの状況は一体、何だ。
 くだらない結果とは、人間そっくりの化物に片腕を切り落とされる事などでは無い。想像していた結末には、叔父が殺されるようなイメージは微塵とて無かった。
 おかしい、おかしい。神崎の常識が違和感で混濁し始める。
 普通に考えるのなら、叔父上のおかしな誘いなど一笑に付されて然るべきもののはずだ。それなのに、その結果がこれだ。何人死んだ? これから何人死ぬ? 幻想に浸った初老の魔導士も哀れな雇われ警備兵も、そして俺もこれから殺されるんだ。もしかしたらあの白鳥の騎士も女狙撃手も不思議の国のアリスも、みんなみんな殺されるかも知れない。
 一体何なんだ、これは。
 恐怖が違和感で和らぎ、違和感が怒りに押し出されていく。不可解、理不尽、笑うことの出来ないナンセンスが目の前にいること。彼は当初の心を取り戻しつつあった。
 そうだ、全てはこの女が悪いんだ。何もかも夢物語で良かった。現実と幻想は区別するものだった。なのに、聞くところによるとこの『女王』が魔力の発生源を支配しているらしいじゃないか。そのせいで夢物語に手が届いてしまった。遊びで充分だったもの、笑うべきだったものが事実となったんだ。
 そんな自分自身がもたらした魔力ある世界で、あろうことか殺戮だと?
 許すか、許してたまるか。何を泣き叫んでいたんだ、俺は。
 ブチ殺す。人間は怪物の玩具じゃない。本来ならば怪物こそ、夢想する人間の玩具だったはずだ。ブチ殺す。殺してやるさ、殺して。腕は2本ともまだ、俺と共にあるのだから。
 もはや生物的衝動は人間的衝動に塗り潰され、神崎は笑みを浮かべた。斬首の腕を掲げたまま、『女王』は喜びを示すように歯を見せる。
「神崎、君は人間だ。そして、戦士だ」
 その言葉と共に振り下ろされた腕は、しかし突然運動方向を横方向へと変更した。『女王』が払いのけたのは、ナイフを握ったままの左腕。それは神崎に許されていた、魔力の慈悲。
 他者の肉体には不可能だが、自分自身の肉体に関しては魔力を発生させることが可能である。それが例え自分の脳から切り離されていても、細胞は彼を覚えている。神崎の左腕は発生した加速度によって『女王』の右側を攻撃し、他者の肉体故に『女王』はそれを魔力で防ぐことが出来ず、己の腕で防ぐ他無かったのだ。
 最後のチャンスを、神崎は有効に動いた。全体重に魔力の加速度をかけたナイフの刺突。『女王』は左の人差し指と中指で刃を挟み込み、制止させることには成功していた。しかし単純に力学関係をだけを見れば、その均衡は今にも崩れることが必至であった。
「この刃……これも魔力遮断素材かっ!」
 左胸にナイフの先端が迫る中、驚きとある種の感心が込められた声を『女王』は上げる。
「用意周到なものだな、神崎。確かにこれは私の魔力を妨害する。なるほど、簡単には砕かせてくれないということか」
 嘘だ。神埼には分かっていた。所詮、付け焼刃なのだ。怪物の暴風に小賢しい備えは無力である。
 それでも、無意味では無い。
 歯をギリギリと噛み締め、神崎は力の限りナイフを押し出そうとする。刃の先端はあと僅かで敵の肺に、だがそうならないことも予想していた。
「早く折ったらどうだ、『女王』」
「言われずとも」
 次の瞬間『女王』の指に挟まれた部分、そのすぐ後ろに直線の亀裂が走り、ナイフは音も無く折れた。すかさず、神崎は力の方向を下へと変えた。油断で緩んでいた2本指の拘束を跳ね除け、刃はその間に深々と切り込む。
 勝利の喜色を浮かべていた『女王』の表情は一変した。彼女が振り下ろす、苦悶の滲んだ手刀。神崎は折れた刃を肉から抜き、『女王』の心臓目掛け全身全霊で突き出した。
 鈍い音と共に、神崎の背骨が粉砕される。彼の右腕は血の湧き出る『女王』の左手によって握りつぶされ、ナイフの折れた断面は敵の心臓から数cmの地点で止まっていた。
 床に倒れ込んだ神崎。罵詈を浴びせようと口を開くも、大量の出血と致命的な骨折により叶わなかった。
「終わりだ、神崎。とても痛かったが、楽しかった。畏れいった。主の敵を取ろうと、命すら顧みず……恐ろしさを乗り越え、刃を振るった。君は比類なき魔導士に相応しい、比類なき忠臣であった」
 朦朧とする意識の中、彼は何故かローエングリンを想った。自分が為せなかったことを、為してくれるだろうか。殺して、くれるだろうか。
「ありがとう、神崎」
 彼は最期に託した。誰にも届かぬ思考で、願いを。
 首根っこを掠めるように切り裂いた、細い指。意思は噴血によって、何処へと無く掻き消えた。
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