不思議の国の軟体鉱物

2017-05

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 全身全霊を込めた射撃の直後、ホンシアは腰からゆっくりと崩れ落ちた。
立つことも難しい出血。戦うことの出来ない重傷。
だが、彼女の目は確かに捉えていた。『女王』が痛みに怯んだ、その動きを。
もしかしたら、もしかしたら。ホンシアの中で生まれる淡い期待。
あの弾丸があの化物の頭か心臓を貫いていること、ただそれだけが希望であり、
それ以外は全て考えるに及ばないものばかりだった。
ホンシアはどうにか自分の射撃の結果を確認するために、手足に力を込めと立ち上がろうする。
顎を引き、屋根瓦を突いて――カシャッ、と屋根瓦の鳴る音がした。
……畜生。
ホンシア仰向けのまま、音のした方向に短銃を構える。
顔もそちらに向けると、血まみれの『女王』が見えた。
畜生。
殺せなかったゴール。果たせなかった夢。ホンシアにとって、『女王』のその姿は実体化した悪夢であった。
「手ひどくやられている様だな、周紅霞」
震えて照準の定まらない右手、ホンシアは左手を添えた。今度は両手が震えだした。
「よくぞその傷で、しかもそんな銃で私を……」
 傷と痛みだけが原因では無かった。彼女は怯え切っていた。
殺すはずの相手に殺される、この状況に。
嫌だ……
ホンシアが引き金を引こうと指を動かした瞬間、銃のトリガーが綺麗な切断面を見せ、折れた。
銃身も斜めに切断され、後には銃だった物がいくつか残った。
それでもホンシアは、銃だった物を下ろそうとはしなかった。
殺さずに殺されることを、受け入れられなかった。
「……ホンシア、君のことは調べさせてもらった。君の両親のことも」
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