不思議の国の軟体鉱物

2017-11

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『Respective Tribute』 第6章「スカーレット・ドレス」 Part5

 前→「スカーレット・ドレス」 Part4

 『女王』の左手側を狙って、陰島は右手の銃だけで射撃――すかさず左手の銃を予想される『女王』の回避方向に向けて撃ち放った。
 しかし、それでも遅かった。『女王』は1度目の射撃をかわした直後、間髪入れず2度目の射撃に対応した回避行動を取り、何事も無かったかの様に追撃を続行した。
 これも、駄目か。
 陰島は魔力を使用してコートのポケットからショットガンの弾を取り出し、まず右の銃から弾を込め始める。ショットガンの残り弾数は2丁とも1発。装弾する姿を見た『女王』が、ショットガンの残り弾数をゼロと判断し接近してくれたならば、それは陰島にとって好機であっただろう。だが『女王』に警戒を緩める様子は無かった。
 右に続いて左の銃への弾込めも完了させ、陰島は次の策を考える。発砲のタイミング及び銃口の向き、これを相手に読まれない方法。予兆無き、トリガーの操作と射撃方向の変更。
 自身の手を使わず、魔力による加速度発生で全ての操作を行えば、可能かも知れない。不安定な動作になり、危険でもある。だがそれでも試す価値は――
 …………いや、そうじゃない。
 陰島は飛行速度を緩め、地面に降りる。『女王』もそれに合わせる様に飛行を止め、それを見た陰島は両手のショットガンを下ろした。
「どうした、陰島」
「いやな……つまらないと思ってね。『女王』、貴方の力なら弾幕を避けつつ、私の眼前まで接近できるはずだろう。違うか?」
「そうかもしれないが、確実では無い。私は勇敢でも無ければ、愚かでも無いのだよ」
「命が惜しいと言うことか、『女王』」
「その通りだ」
 陰島は鋭い目付きで、突き付けるように2丁のショットガンを『女王』に向ける。
「ふざけるな。こっちには命を捨てる覚悟がある」
「此方だって命がけの戦いであることには変わりない。だが、捨てるような戦い方はすべきで無い。それが命に対する敬意ではないか、陰島」
 その言葉を、陰島は首を横に振って否定した。
「どう使うかが重要だ。無駄に生き長らえるくらいなら、華々しく散るべきだ」
「陰島、残念だが私は君に殺されるつもりは無い。だから、機会を待っているのだよ」
「機会……」
「そう、確実な機会を……」
 陰島が気付き、発砲した時にはもう遅かった。『女王』は既に、上へ。
 全速で後退する陰島、その目の前に急降下した『女王』――陰島は散弾を発射しようと銃を向ける。
 その瞬間、ショットガンの銃身が2丁とも潰れ、折れ曲がる。
 魔導士と、魔力を発生させる位置。その2点が近ければ近いほど、その威力も増す。銃が魔力で破壊されたことは、『女王』が接近したことによる当然の結果だった。
 潰れた銃身に構わず、陰島は暴発覚悟でトリガーに指をかけようとする。だが2つのトリガーは独りでに断裂し、弾き飛んだ。それが『女王』の魔力によるものであることは明らかだった。
 陰島は両手の銃を投げ捨て、拳を構える。
「嘗めるな……たとえ素手であろうと、渡り合えれば問題は無いっ!!」
 それを見た『女王』は、狂気じみた笑みを浮かべた。

 次→「スカーレット・ドレス」 Part6

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