不思議の国の軟体鉱物

2017-09

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『Respective Tribute』 第6章「スカーレット・ドレス」 Part12

 前→「スカーレット・ドレス」 Part11

「お久しぶり、アリス」
 彼女は微笑んだ。血に汚れた脚で。
 カレンはバールのようなものを蹴り押し、その反動で距離を取った。
「貴方が『女王』の手先だったのね」
 睨むようにバールのようなものを突き付け、アリスが言う。
「手先と言うより、私の場合は靴が正しい。あの方が前に進むための、靴」
「そんなの、踏まれるだけだわ!」
 不意打ち気味に薙ぎ払った得物は、しかし意外にも容易く避けられてしまう。その予想外に対し、アリスは不機嫌を隠せなかった。
「動きが速いわね、カレン」
「あまり馬鹿にしないで。私はそんなに、弱くは無い」
 刺すような冷たい目付きでアリスを見つつ、カレンはそう答えた。
「それでも、私の方がきっと強いわ」
「そう……」
 突然、カレンは後ろに跳び下がる。直後、カレンが立っていた場所に弾丸が衝突した。
「ホンシア!?」
 アリスが振り向くと、ホンシアが狙撃銃ではなく短銃を構えていた。
「そんなことしなくていいわ、ホンシアッ! カレンは私が倒すから、邪魔しないでっ!!」
「でも」
「貴女はローエングリンを助けてあげて。お願いよ」
 ホンシアは「わかった」と頷き、再び狙撃銃を取って身を伏せる。それを確認したアリスは再びカレンへと向き直った。
「すぐに終わらせてあげるわ。早く『女王』と戦いたいんだもの」
 カレンは右足を上げ、刀のように突き出した。
「あの方へ手は出させない。邪魔なんて、させない」
 その右足に対し、アリスはバールのようなものを叩き付けようとした。しかし、カレンはまたしても身体を退き、攻撃は外れた。
「むぅ……」
 その消極的な態度がアリスには気に入らなかった。カレンはそのままバックステップを続け、館の東棟、そして北棟へ向かって下がって行く。
「戦う気があるのかしら、カレン」
 仕方無しにアリスはそれを追う。東棟と北棟が交差する角でカレンは足を止め、アリスもそれと対峙するように立ち止まった。
「どういうつもりかしら、カレン。逃げてるだけじゃ、どうにもならないわ」
「分かってる。だからそろそろ、行かせてもらう」
 瞬間、カレンが身体を捻りながら左足を打ち出す。アリスは身を引いてかわし、続く右足の攻撃に対しバールのようなものを振り下ろした。 しかしカレンの脚は異様な速度で運動し、バールのようなものを回避する。
「えっ……!?」
「馬鹿にしないでと言ったでしょ。脚に関してなら、私の方が上」
 そして踊るように繰り出される脚の連撃。右、左、右、左。アリスはそれらを避けつつ反撃をするも、カレンの足捌きにより空振りに終わった。
 次第にアリスは焦りを感じ始める。カレンの攻撃は避けられないものではない。しかし回避しながらの反撃は、彼女の速度に追いつけない。
 『靴の女王』の称号に見合うカレンの脚、アリスはそれを認めざるを得なかった。

 次→「スカーレット・ドレス」 Part13

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