不思議の国の軟体鉱物

2017-07

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『Respective Tribute』 第7章「嘘」 Part3

 前→「嘘」 Part2

 ローエングリンは服のポケットに隠されたスイッチを魔力で作動させた。
 爆音、熱風、衝撃。神崎の眠る部屋の床下で本命の爆弾が爆発し、爆風が廊下内へと一気に吹き荒れる。
 廊下に仕掛けられた爆発物は、全てダミー。全ては『女王』を止めさせるための結界。『女王』は見事なまでにその罠に囚われ、足を止めた。
 だから、彼女は死ぬ。進むことを止め、警戒することも止めた『女王』には避けられない。速く、熱く、激しく。暴力的な勢いが背後から迫るのを、彼女は回避出来ない。
 そう――そうであるはずだった。
 『女王』の薄ら笑いを見た時、ローエングリンがその表情をほんの一瞬、勝機に緩めさえしなければ。
 その決定的な油断さえ、無ければ。
 
 ローエングリンがスイッチを作動させたのより早く、『女王』は前方へと加速していた。
 爆風より早く迫る『女王』、ローエングリンは咄嗟に剣を振り上げた。空を斬る剣、背後に感じた重圧にローエングリンは振り返り、その頭を冷たい手によって鷲掴みにされる。
 それとほぼ同時に、ローエングリンは爆発の熱を感じた。肉を焦がすことも無い低温の熱さ。威力とは裏腹に、効果範囲を調整された殺傷はローエングリンの位置まで届かない。
 ローエングリンは覚悟していなかった。死ぬ気など、毛頭無かった。アリスと約束するずっと前から、生き延びることを考えていた。
「ローエングリン……君の敗因は」
 そうとも、俺は――
「自分の命まで『守護』しようとしたことだ」
 ――弱い男だ。
 頭骨を砕きかねない強烈な圧迫。ローエングリンは力任せに剣を薙いだが、当然のようにそれは『女王』の身体を掠めすらしない。いつの間にか離れていた『女王』、そして再接近。
 直後、ローエングリンの身体は『女王』の殴打によって吹き飛ばされた。廊下の天井に頭がぶつかり、それを合図として振動破砕と爆発で崩落寸前だった廊下が崩れ始める。
 瓦礫として落下する廊下の中から無我夢中で飛び出し、ローエングリンは中庭の芝生に倒れ込む。先程まで『女王』と居た廊下は轟音を立てて地面に墜ち、彼の背後にあった書斎もその衝撃の余波で崩落していく。
 ローエングリンは粉塵の舞う中、上空を見回す。頭上の空間は無人だった。
「名に恥じぬ戦い方が出来るかな、『守護の王』よ」
 真正面から聞こえた声。素早く立ち上がり、彼は剣を構える。
 『女王』が眼前まで迫っていた。

 次→「嘘」 Part4

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