不思議の国の軟体鉱物

2017-10

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

『Respective Tribute』 第8章「女王」 Part10

 前→「女王」 Part9

「それでいい、アリス」
 満足げなルーシーの声と共に、跳ね上がった車がアリス目掛けて加速を始めた。
 車のフロントが自身に迫る中、彼女は地面から剣を引き抜き、振り上げる。車体を両断するイメージを込めた振動加工の一太刀。だが、車は何故か2つに分かれること無く加速を続け、アリスに衝突しようとする。
「なっ……!?」
 バールのようなものを盾代わりにして、アリスは直撃を避ける。しかし車は止まらず、彼女を押し出しながら半壊した館の入口に向かって加速を続ける。
 アリスは直線状の亀裂が車体の後部にまで走っていることを確認し、すぐに背後を見た。玄関に突入する直前だった。
 先ほど破壊した壁の残骸などを魔力で捌きながら、アリスは車に押されて館を突き抜ける。そして中庭に出た瞬間、彼女は車体の亀裂にバールのようなものを捻じ込み、車が左右に分かれるよう加速度を発生させた。車体は一瞬だけ亀裂を広げたものの、アリスが加速度の発生を止めた途端、磁石のように引き合った。
 車を左右から押さえつけるような強い力がある。それは間違いなくルーシーの魔力であった。
 アリスはバールのようなものを車に叩き付け、車体には下向きの、自身には上向きの加速度を発生させた。宙へと舞い上がるアリスに対して、ホンシアの車だった物は地面を削りながら中庭東の瓦礫へと突進して行く。
「出てきなさい、ルーシー!!」
 荒々しい声でアリスは叫んだ。その不快の念は限界に近く、激昂と呼ぶべき感情が彼女を満たしていた。もはや遠い昔のように、ルーシーを畏れることは無い。相手は既に『女王』ではなく、怨敵でしか無かった。
 アリスはルーシーを探して、空を見上げる。またしても、空中にある車。そして、敵。
 急激な加速度で車がアリスに向かって発射される。彼女はバールのようなもの振り被り、加速度発生と振動破砕を込めた打撃でそれを打ち落とした。
 眼前に、ルーシーが迫っていた。
 ローエングリンの剣による防御も間に合わず、ルーシーの強烈な蹴りがアリスの胴を強打した。蹴り飛ばされたアリスは減速もままならずに、地面へと勢い良く落下して行く。その眼に、微笑みを湛えたルーシーを映したまま。

 そして、アリスの意識は落ちた。

 次→第9章「バールのようなもの」 Part1

スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://longstraight.blog79.fc2.com/tb.php/473-59082f6a
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

 | HOME | 

FC2Ad

 

『Respective Tribute』

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

リンク

このブログをリンクに追加する

プロフィール

kuroron

Author:kuroron
黒髪ロングストレート好きの20代メンヘラです

目撃者数

 

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。